偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

その週末。

今日は待ちに待った水城さんとお家デートの日だ。そして、私には以前と違うことがひとつある。それはもう彼と会う時にわざわざ“優香”でいる必要がなくなったことだ。素の自分でいられることがこんなにも気が楽だったとは、今まで頑張って優香に似せていたことが滑稽に思えてくる。

水城さんは本当に忙しい人で、一日デートの予定だったけれど急に仕事が入って会うのが夜になってしまった。彼は申し訳なさそうに電話越しで何度も謝っていたけれど、会えなくなったわけじゃないし、それでも私は夜が待ち遠しかった。それに梅雨のせいで今日も一日雨が降っていて、今はもう止んでいるけれど彼に足場の悪い中を歩いて回ってもらうのもなんだか気が引けた。

ちょっと早く着き過ぎちゃったかな……。

待ち合わせの時間より十五分早く水城さんの最寄り駅である神楽坂に着いた。

どこかで時間を潰そうかと思ったけれど、なんとなくそわそわしてしまって結局改札で待つことにした。