「君って人は……巻き込まれたって怒らないんだな、それどころか俺を気にかけるなんて」

結果的に踊らされていたのは自分のほうだったけれど、スッと肩の荷が下りた気がした。

「怒ったりしませんよ、嘘をついていたのは私だから……」

突如現れた梨花さんによって暴露されてしまった私の正体、水城さんの目にはどう映っているだろうか。

「本当に妹さんとそっくりだな、外見はね」

「え?」

ふと、そんなことを言われて顔をあげると水城さんの笑顔とぶつかる。

「正式に君と会うのはこれで四度目だけど、やっぱり性格は全然違う。俺は初めから“愛美”だけを見ていた」

初めて名前を呼ばれてどきりとする。今思えば、水城さんは一度だって私のことを“優香”と呼んだことはなかった。

本当に、水城さんが私を……。

そう思うと、ドキドキしてまともに彼の顔を見られなくなってしまう。