その日から数日後、事態は急展開を迎えた。
建設現場の職員が複数名、内部告発という形で現場の管理ミスがあったことが発覚した。

ニュースに大きく取り上げられ、湊は会社の代表として記者会見を開いた。
社員一同がモニターで見守る中で湊は堂々と話しをした。

「今回はわが社の設計した建造物の建築現場にて起きた事故によりたくさんの方にご迷惑やご心配をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。なにより、今回の痛ましい事故により亡くなったご本人様、ご遺族の皆様にお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。今回の事故は設計にミスはなかったことは連日の報道を通し、すでにご存じかと思います。しかし今後もこの結果に甘んじることなく、建築法に基づいた設計はもちろん、そこで生活される皆様に安心して暮らしていただけるよう精神誠意を込め職員一同努めていきますことをここで改めて宣言いたします。」
原稿もない中で自分の言葉で精神誠意質問に答える姿に、樹はいつの日かの湊のあいさつを思い出していた。