「それが息子の最後の願いだと思うんだ。私たちは。樹さんが幸せになれなかったら、陸だって死んでも死にきれない。陸のためにも、新しい幸せをつかんでほしい。」
「あなたがちゃんと前に歩みだして、必要なくなったら、そのネックレス、私たちに返してくれるかしら?今はあなたに貸してあげるわ。」
陸の両親の気遣いが伝わり樹は涙が止まらない。

「樹ちゃんの結婚式にはちゃんと私たちも呼んでね?娘の結婚式なんだから。あなたのブーケを作るのが私の夢なんだから。」
「・・・ありがとうございます・・・」
樹は止まらない涙をこらえられないまま陸の両親に頭を下げた。

両親の温かさに陸の温かさを思い出す。
陸も本当に優しくてあったかい人だった。
そのぬくもりを感じて涙がさらにあふれた。