「樹。ほら」
湊は自分よりも後ろを歩く妻、樹に手を伸ばした。その手を樹がとる。
「きれいだね」
樹の言葉に湊が微笑む。
「んぁ・・・んぶ~」
湊がかわいらしい声に自分の腕の中の息子を見つめる。
「永遠もうれしいのか?」
「ご機嫌だね。」
「あぁ。」
樹も湊に抱かれる息子の永遠を見た。
三人の周りには広大なひまわり畑が広がっていた。
ここは樹と湊にとっても思い出の多い植物園のひまわり畑だ。
出産後ほとんど外出していなかった樹と永遠を湊が気分転換にと植物園に誘った。
湊は永遠が生まれてから自宅での仕事を増やしていたが、最近では朝早くから夜遅くまで仕事をしていることが多い。家族の時間を持ちたくて、湊もゆっくりと過ごしたかった。