「理恵さん、私と少し出かけてくれませんか?」
「え?」
樹の提案に理恵は驚いた。湊の許可がないからという理恵に樹がどうしてもと理恵を連れ出した。
「体調は?大丈夫ですか?」
理恵の言葉に樹は笑顔で理恵を見る。
「敬語やめてください。私の方が年下ですから。」
「どこに行くの?」
理恵に答えず樹は正面を見る。
どうしても伝えたかった。

樹が理恵を連れてきたのは公園のベンチだった。
タクシーを降りてそのベンチへ向かうとき樹の表情が一瞬くもった。
「?」心配する理恵に樹はぎこちなく微笑みながら一歩ずつベンチへ近付いた。