一夜からはじまる恋

「でも」
「でもはなし。今だけはこのこと俺のために樹は俺や周りの人に頼ってほしい。甘えてほしい。」
樹はずっと心にあったもやもやが消えていくのを感じた。

「のぼせちゃうな」
そう言って湊が樹の手を引いて湯船から上がる。

「私やきもちやいてた」
湊に髪を拭いてもらいながら樹が小声でつぶやくと
「ん?」
と湊が樹の方を見た。
「なんでもない」
そう言って微笑む樹はやっと自分自身が抱えていた心のもやもやがやきもちだったんだと気づいた。