一夜からはじまる恋

湊の言葉に樹は思い出す。出会ったあの夜のことを。
「樹がどれも高瀬湊でしょって、どれも俺自身だろって言ってくれて救われたんだ。俺は本当に。」
湊が樹を抱きしめる。
「今までの自分の人生否定してばっかりだった俺が、樹に初めて肯定してもらえたような気がして本当にうれしかった。自分の人生無駄じゃないって。どれも俺自身で、どれも無駄じゃなかったんだって。そう思えて救われた。」
「私じゃない。湊さんが頑張ってきたから、湊さんの人としての魅力があったから私はそれをただ言葉にしただけ。」
「それがうれしかったんだよ。」
湊は樹を抱きしめる手に力を込めた。
「あの夜、俺の人生がやっと動き出したような気がした。俺が俺であっていいんだって思ったらうれしくて、見える世界も変わったんだ。大げさじゃない。本当にそう思う。」
「うれしい。そう言ってもらえて」
樹は湊を見た。