一夜からはじまる恋

「理恵が心配してたぞ?樹のつわりがまたひどくなったのは自分が来たからじゃないかって」
樹はそうかもと思いながら口が裂けてもそんなことは言えないと思った。
「俺、友達は少ないと思うんだ。本当の友達っていうかな・・・」
「本当の友達?」
「そう。高校を卒業するまでは友達はいなかったんだ。高瀬湊っていう人間じゃなくて企業の跡取りとしての高瀬湊を周りが求めていたっていうか。ひどい思い出もいっぱいあるよ。」
「ひどい思い出?」
「俺と一緒に遊びに行けば財布出さなくて済むみたいな」
「ひどい」
湊が寂しそうに笑う。
「それでもひとりは嫌でさ。わかってて利用されたりとか、それがいやになって一人になってみたりとか、究極は俺の気持ちを理解してもらおうとしてことごとく傷ついたこともあった。」
樹は湊の手をさする。