「出産まで俺は仕事片づけないといけないから帰宅も遅くなりそうなんだ。子供が生まれたらまとまった休みが取れるようにしておきたくてさ」
初めて聞いた・・・。樹が湊を見ると湊は樹に気づかないまま理恵を見て話し続ける。
「とはいっても自宅で仕事するようになりそうだけどな。その時は契約も延長してもらうかもしれないけど。」
「それは大丈夫。任せて」
「あぁ。理恵なら安心して任せられるよ。」
名前で呼ぶんだ・・・。
樹の中でのもやもやがどんどんと大きくなった。
「傷口見せてもらってもいいですか?」
理恵の言葉に湊が自分の体のために理恵を雇ってくれたことを思い出す。
「はい」
樹がベッドに横になるのを手伝いながら湊は樹の体調で気を付けてほしいことやもう一度病状を伝えた。樹のお腹に理恵が触れる。
「理恵は産婦人科で勤務していた経験があるんだ」
と湊が理恵の動きを見て樹に説明する。