「陸、樹ちゃんが来てくれたわよ。よかったわね。」
女性はベッドで眠る息子の頬を撫でた。

ベッドで眠っているのは速見陸。樹の愛する人だった。

陸が眠りについてからもう5年が過ぎようとしている。

樹は陸に向かい微笑んだ。


陸の首には樹とおそろいのネックレス。母親に頬を撫でられても目を閉じたまま穏やかな顔で眠っている。

そう、陸は5年間一度も目を覚まさないまま。