「あと何着着たらいい?」
うんざりとした表情の湊に笑いながら樹が選んだタキシードを次々に試着させられる湊。
「これでいいよ」
という湊に樹は首を横に振った。

結局試着して決めるまでに一日かかった二人は最後にプランナーから「結婚指輪は当日お預かりしますが前日のリハーサルにもご用意くださいね。あとブーケですが次回選びましょう。ドレスも決まりましたから。」プランナーの言葉に樹は陸の母の言葉を思い出す。

結婚するときはブーケを作ってくれると話していた。
でも湊は嫌がるかな。そんなことを考えてブーケのことは言えずにいた。

「樹?どうした?」
プランナーの言葉に何かを考えていた樹に気づき湊が顔を覗き込む。
考えが膨らんでぐっとお腹が張ってきた樹は無意識にお腹をさすりながら湊に「なんでもない」と伝えると湊はすぐに樹の様子に気が付いてお腹に自分の手をあてた。