一夜からはじまる恋

会社では相変わらず樹に対しての周囲のあたりは強かった。それでも樹は大丈夫だった。
家に帰れば湊がいる。ふと視線を机の下に移すと湊が作ってくれたお弁当が目に入った。
気合を入れなおして仕事を始めると主任から声がかかった。

「先日のイベントでお世話になった倉本さんのご友人ですって。今度うちの会社で北海道に建てる大型食品館の企画を担当してくださる方がいらしてるから、お茶出して。」
「はい」
樹は給湯室へ向かいお茶の用意に向かった。
給湯室には先客がいて樹の話題で盛り上がっていた。
「仕事しずらいったらないわよね。早くやめてほしい。」
「社長、狙ってたんだけどな~」
「あんたはお金目当てでしょ」
「あの人だって絶対に財産目的だって~謙虚そうに見えてそんなの演技だったんだよ。」
この会社に勤めてから6年。今まで積み上げてきたものが崩れていくような感覚に悲しくなった。