一夜からはじまる恋

『え?』
『そばにいる。いつだって俺はそばにいる。』
『じゃあこのまま私を連れて行って。』
『また会えるから。ちゃんと待ってる。』
陸の体がどんどんと離れていく。
『陸、ごめんね』
ずっとずっと言いたかった言葉を言うと
『俺が怒るわけないだろ。俺が何を考えて何を思っているか樹にはわかってるはずだ。』
と陸は笑った。
『樹』
陸は最後に樹の名前を呼び消えていった。
『いかないで!陸!行かないで!』
どんなに大きな声で叫んでも陸は戻ってこなかった。