一夜からはじまる恋

樹が体を離し陸の顔を見ると
『本当にどうした？』
と困ったように笑う陸。樹は夢の世界で初めて陸に会えた。
『そろそろ俺行くよ』
樹は自分が夢の世界にいることに気が付いている。
『ダメ行かないで』
『いかないとダメなんだ。仕事あるし。』
『仕事なんてしなくていい。』
『わがまま言わない。樹らしくないぞ？』
『私らしいってなに！？なんだっていい。そばにいて！』
樹が再び陸の体を抱きしめようとしても陸の体を自分の手がすり抜けてもう抱きしめられなかった。
『どうして置いていくの？』
涙を流す樹に陸は優しく微笑む。
『今はまだ樹を連れていけないんだ。』
『いやだ。』
『男の子だ。』
泣き叫ぶ樹に陸が樹のお腹を見る。