一夜からはじまる恋

『ガタンッ!ダダダダッ!バタン!』
突然の音に湊が目を覚ますと目の前を樹が走り去った。
何事かとその姿を目で追うと樹はトイレへ駆け込んだ。

「樹?」
湊は樹を追いかける。
「大丈夫か?樹?」
トイレの扉の前で湊が声をかけてもしばらく樹は返事もしない。
樹は時計を確認して樹がトイレに駆け込んでから10分が経った時、
「樹、意識あるか?声で返事しなくてもいいから、ドアか何か叩けるか?樹?」
それでも樹は何も反応しない。
「樹、ドア開けるぞ?いいか?開けるからな」
湊の呼びかけにもやはり何も反応がない。
樹の反応を確かめながらトイレのカギが外側からも開けられる形状だとわかっていた湊は車のカギの先端を使ってトイレのカギを開けた。