「生きた心地しなかったんだ。そばで・・・近くで・・・樹とお腹の子供を守らせてほしい。この手で守ってないと不安なんだ。なにかあったら絶対に後悔する。そばにいたい。今までずっと遠慮してた。樹の過去に何があったのかわからなくて、言いたいことも聞きたいことも半分以上しまいこんできた。」
湊のまっすぐな言葉に樹は自分の首元のネックレスを握りしめていた。
「後悔したくない。もう遠慮はしない。樹の過去に何があったっていい。でも樹の未来は俺が欲しい。俺がそばにいたい。いさせてほしい。」
湊は樹の手を握る。その手はとても熱い。

樹の左手は冷たいネックレス。

右手は熱いほどの湊の手。

樹の瞳から涙が流れた。