一夜からはじまる恋

「へ?」
唐突な質問に樹は変な声で変な返事をしてしまった。
『今日のデートのことを考えてたら、そういえば一度も確認してなかったと思って。なんか、産んでくれることが当たり前みたいに、違うか産まれてくることが当たり前みたいに思っていて・・・』
付き合ってもいない相手と一夜の情事でできた子供。樹は産む以外の選択肢はなかった。それでも湊はどう思っているか分からなかった樹にとって湊の言葉には驚いた。

自分と同じように産む以外の選択肢を今まで持っていなかったのだと思ったら、この子が生まれた時にも望まれて生まれてきたと胸を張って言えると思った。
「うみます。私にもそれ以外の考えはありません。」
『よかった・・・。よかったー。焦った。』
「・・・」
『遅くにごめんな。ゆっくり眠って。おやすみ。』
と唐突な湊からの電話は切れた。