* * *

 
 夜は荷車の中で寝た。
 途中で誰かがようすを見に来た気配があったけど、誰かはわからない。

 眠れないまま朝を迎えた。
 外では、朝食中なのか賑やかな声が行きかっていた。

 人が何人も死んだのに、どうして笑っていられるんだろう。
 ただ死んだんじゃない。
 目の前で殺されたっていうのに。
 しかも殺した人が、すぐ側にいるっていうのに。

 この世界の人はおかしい。
 みんなどっかのネジがぶっ飛んでるんだ!

――……独りになりたい。お母さんに逢いたい。