目が覚めると、天井が白かった。
 見慣れない天井だなぁ、とぼんやりと思う。

「ゆり!」

 突然大声が聞こえて、瞬きをしながら声の方を向いた。扉の前に、お母さんが立っていた。
 信じられないものを見たように目を見開き、駆け足で近寄ってくる。

「ああ! ゆり!」

 お母さんは泣き出しながら、横たわる私に抱きついた。

「なに? ……どうしたの?」

 わけが分からず首を傾げると、お母さんはばっと顔を上げた。

「どうしたのじゃ、ないわよ! 一体どこに行ってたの!?」
「……は?」

 怒鳴るお母さんに、きょとんとする私。
 お母さんはそれからまた泣き出した。
 良かった。良かったと、呟きながら……。
 私はそれを、気まずい気分で見ていた。
 いったい、なにがなんだか。