* * *

「ただいま!」

 私が元気良くリビングを覗くと、黒いフードが揺れた。

「おかえり」

 クロちゃんが振向く。

「あれ? 月鵬さんは?」
「帰ったよ」
「え~!? せっかく一緒に食べようと思ったのに」
「残念だったね。多分また明日来ると思うから、その時一緒したら?」
「……うん。そうする」

 クロちゃんに買い物袋にしている竜皮の大きなトートバックを渡しながら頷いた。

(ご飯食べるって言ってたのになぁ……)

 残念に思いながら、ソファに座った。

「お~い!」
「ん?」

 クロちゃんがテーブルから呼びかけて、手招きしている。

「食べようよ。冷めちゃうよ」

 私を元気づけるように、明るい声音が飛んできた。
 私は、「は~い!」と明るく返事を返して、クロちゃんのもとへ駆け寄った。