* * *

「うわっ!」

 南は驚いて掴んでいたゆりの腕を離した。
 呆然と口を空けたまま、ゆりに釘付けになる。

 落ち込んだ様子だったゆりの体が、突然白く輝きだしたのだ。
 ゆりは空ろな目のまま、ふわりと宙に浮いた。

 何か言おうとして南は口をぱくぱくと動かしたが、声にはならず、驚いたまま、ゆりを見上げた。
 そして、ゆりは一瞬だけ宙に留まり、次の瞬間、稲妻のような速さで北東の方角に飛んで行った。
 文字通り、ゆりは光の速度で空を駆ける。