(帰れるの? 向こうの世界に……)
本当に、帰れるなら、帰りたい。
アニキが、そんなに私を想ってくれてたなんて……!
熱い涙が零れだした。
「逢いたい……」
私も好きだって告げたい。
アニキに抱きつきたい。
でも、両親の顔が浮かんだ。
やつれたお母さん。
仕事を始めて、活き活きとしていたのに、私のせいで辞めさせてしまう。
アニキには逢いたい。今すぐにでも。
でも、これ以上、両親に心配をかけるわけにはいかない。
もしかしたら、もう一度向こうに行けたとしても、二度と帰ってこれないかも知れない。
どうしたら良いのか分からずに、私はただ、泣くしかなかった。



