* * *

 夕飯を食べて、二階に上がる。
 部屋に入ると、床に散らかしたままの巻物が目に入った。
 柚さんの想いが詰まった巻物……。
 私は巻物を一つ一つ拾い上げて、机に置いた。

(こんな大切な物、私が持っていて良いのかな)

 私は、恐れ多い気持ちで巻物を見据えた。
 とりあえず、どこかに保管しておいた方が良いかも知れない。他の荷物も一緒に。
 とりあえず、安慈王子からの贈り物だけ風呂敷から出して、巻物も着物やアクセサリーも一緒にクローゼットに入れることにした。

 床に置いたままの着物を拾い上げると、右手に嵌めたブレスレットが陽光に光った。

「これも、入れておこうかな……」

 右手首から外そうと、着物を持ち替えた時だ。
 コトンと、何かが滑り落ちて床に投げ出された。

「なんだろ?」

 床を覗き込むと、もう一本、小さな巻物が落ちていた。

「まだ入ってたんだ」

 反対の袖にも入っていたか、柚さんの巻物よりも小さかったから掴み損ねたかしたんみたい。私はそれを拾った。

(また、柚さんの手紙かな?)

 私は巻物を開いた。