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結局二人で切り分けて、一緒に食べたネズミの味は、獣臭さが鼻につくこともあったが、淡白な味が鶏のササミ肉に似ていたので、姿形を見なければ飲み込めるものだった。
朝食を終えると、二人は山を下った。
結はまるで道を知っているかのようにずんずんと進み、ゆりは頼もしく思うのと同時に不安でもあった。
「結。道分かるの?」
「うん、わかる」
「どうして?」
結もここがどこなのか分からないと言っていたのに、どうして分かるのだろうかと、ゆりは怪訝に結を見る。
「太陽の位置と、時計で方角、わかる」
「そうなんだ……川沿いは歩かないの? 水飲めるしさ」
「沢筋は危険だ」
「そうなの?」
「川沿いを歩けば、必ず滝に当たる。そうすると、下れない」
「そっか。そうなんだ……でもさ、なんか私達、登ってない?」
「山で迷った時は、下るの危険」
「え!? そうなの!?」
「うん。上の方に行って、位置確かめる」
「そうなんだ……」
夜が来てうやむやになってしまったが、あのまま登るのを諦めて下っていたらどうなったか、ゆりは考えてぞっとした。
「だけど、なんかこの山高い気がするんだけど、大丈夫かな? 木もさ、もうここまでですよって感じで、頼りないし」
「多分、そこまで高くない。木々の色つきが悪くなってるのは、上の方へ行くほど、寒くなるから、一足早く落葉してるだけ、思う」
「マジで!? なぁんだ、そっかぁ! 良かった!」
ゆりは安堵から大きく息を吐きだした。
「でも、本当、結に逢えて良かったよ。私一人じゃ、もう、どうなってたか!」
「……」
ゆりの言葉に、結はひっそりと照れたようにはにかんだ。



