それは、何の前触れもなく屋敷を揺さぶった。

「ねぇ!
早く誰か来なさいよ!
私が呼んでるのになんで誰も来ないの!?」

休日の夕方に突然響いた甲高い声。

一体何事!?
咲さんとゆったり時間をつぶしていたところに、キンとした声が耳に飛び込んできた。

ただならぬ空気を感じた私と咲さんは、急いで声のとんできた玄関へと走った。

「ど、どうされました?」

そこにいたのは、全身を黒色に身を包んだ女性。ブラウスの襟元はきゅっと締まり、真っ赤なリボンが添えられている。フリルのついたスカートはバルーンのように広がり、そこから細い足が伸びている。
ベールの帽子を被ったこのスタイルは、いわゆるゴスロリというものだ。

実際に目にしたのは初めて。
頭のてっぺんからつま先まで、ついつい見てしまう。