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「────ただいま、」
そう溢しても、空っぽの部屋は返事をしない。
玄関の靴だって相変わらずない。
空には陽が昇りかけていた。
近所の民家に住んでいるおじいさんが犬を散歩させていた。
───────朝帰り、
なんて、人生ではじめてで。
思ったより呆気なく、そして簡単にできてしまうことを知った。
一人というのは思うほど苦じゃない。
自分のことは自分でやるのは当たり前だし、誰かに面倒事を押し付けられる心配もない。
自分で自分の好きなように時間が使える。学校だとそうはいかないし。家にいる方がずっと楽だ。
─────~~~♪
私には到底似合いそうにないような陽気な着信音。
“友達”に勝手に設定されたまま、変えるのが面倒くさかっただけだが、当の本人は私が気に入ったのだと勘違いしている。
“ 明後日の夜、今月分の生活費を振り込んでおきます ”



