イライラしたような声に私は黙るしかなくなるが、朧さんも数秒してから自分の声色に気がついたみたいだった。
「ごめん、言い方キツくなった」
「いえ……、……慣れてるので」
別に珍しくない。嫌悪されることも、疎まれることも。
むしろ朧さんの反応は優しい方かもしれないとさえ思った。
「─────慣れてるっつーのは、大丈夫なわけではねえんだろ」
「……え、」
心地よく響いた低音は、朧さんのものではない。
「凛太郎さん……」
少し焦ったような、戸惑ったような時田さんの声を、どこか他人事のように聞いていた。
だって、目の前にいるのは。
私を昨日、救った男、その人だったから────。



