自嘲しながらもそう名乗ると、彼は一瞬“わけがわからない”というような表情をして、少し考え込む素振りを見せて、それから……
──────驚いたように私を見た。
“一宮の卯月”
私は上手くやりすぎたんだと思う、……たぶん。
“一宮高校の卯月”は、某有名高校の生徒達を抑えて全国模試一位をキープし続けている、超優等生だ。
生徒会には入っていないが、次期生徒会長に指名されるであろう……などなど。
本人は何も語らないまま、噂だけが独り歩きしていた。
「あはは、一生関わりない人種かと思っ……た?……よね、」
なにも言わない朧さんに、私はわざとふざけたように振る舞うことしかできなかった。
だって、どうしようもない。自分からバラしたようなものだから。
“なにそれ?”となるほど朧さんは無知ではないだろうし、人違いだと誤魔化せるほどポピュラーな名字ではない。
「むしろ、嫌われちゃうタイプなのかな?それは悲しいなあ、だって─────、」
「ちょっと紗菜ちゃんうるさい」



