「……凛太郎、」
「お前、帰るとこなんてあんの」
なにを聞かれるのかと構えていたから、そんな質問に少し拍子抜けしてしまった。
聞かれるなんて思ってなかった。凛太郎はなかなかに鋭い。
「……なにそれ。……あるよ、たぶん」
「命の恩人に向かって随分な態度だな」
「……別に死んでもよかったのに」
助けてなんて言ってなかった。助けてほしいとも思ってなかった。
だけど、私が凛太郎に助けられたときに安心したのは事実だった。
あのまま流れに任せていたといても、肝心なところで、きっと私は───
「弱いくせに強がりか、……面倒な生き方してる奴」
「オレから見たら、凛太郎も人のこと言えないと思うけどなー。まあ紗菜ちゃんから面倒臭そうな匂いがするのは同感だけど」
酷い言われようだ。
でも、どこも間違ってないから否定のしようがない。
それでも、会ってまだ数時間の人に心を暴かれるのは、嫌だ。



