BLACK REFLECTION -月の警告-






「ふーん、紗菜ちゃん、なかなか面白そうだね。絶滅危惧種なんじゃない?」

「だから、どういう意味……」




とまで言いかけて、やめた。

もう彼の()は、自分の世界に入っている()だったから。
これ以上聞いても無駄だと悟った。




だけど少し、そんなところも
楽しいな、なんて思ったり────




「……もーいいです、諦めます。手当てしてくれてありがとうございました。……さよなら」

「えっ、紗菜ちゃん帰るの?」

「はい。手当てのために連れて来られたので。それが終わったなら、私がここにいる理由はないですから。……それじゃ」




「────待てよ紗菜」




ガッ、と私の手首を掴んだのは凛太郎だった。

私の名前を呼んだその声には、少し焦りが含まれているように聞こえた。



掴まれたままの手首が熱い。それに加えて、少しだけ痛い。凛太郎の力が直接伝わる。