「ふーん、紗菜ちゃん、なかなか面白そうだね。絶滅危惧種なんじゃない?」
「だから、どういう意味……」
とまで言いかけて、やめた。
もう彼の瞳は、自分の世界に入っている瞳だったから。
これ以上聞いても無駄だと悟った。
だけど少し、そんなところも
楽しいな、なんて思ったり────
「……もーいいです、諦めます。手当てしてくれてありがとうございました。……さよなら」
「えっ、紗菜ちゃん帰るの?」
「はい。手当てのために連れて来られたので。それが終わったなら、私がここにいる理由はないですから。……それじゃ」
「────待てよ紗菜」
ガッ、と私の手首を掴んだのは凛太郎だった。
私の名前を呼んだその声には、少し焦りが含まれているように聞こえた。
掴まれたままの手首が熱い。それに加えて、少しだけ痛い。凛太郎の力が直接伝わる。



