「つーかお前、なんでこんな時間に出歩いてんだよ。近所とかならまだしも……夜の街なんて」
「……それはお互い様じゃないですか」
「だから敬語」
「……あ、」
やっぱり第一印象というものは強い。
“敬語を使わない”って意識していても、その意識がすぐどこかに飛んでいってしまう。
「ンな尊敬されるような人間でもねーし。同級生に敬語使われんの、なんか気持ち悪りぃ」
「……時田さん?は、」
「アイツ高1」
年下……年下か……デカかったな。巨人。大男。
まあ、私に比べたら大半の人が大きいとは思うけど。
にしたって桁違い。あんなのと会話してたら首痛めそう。
「……あ、朧」
「へ?」
「凛太郎さー、まじで人使い荒すぎない?オレちょー忙しーんですけどー」
………これが、朧さん?
…………チャラい。すっごくチャラい。
「どーせお前は女と連絡取ってたりしたんだろ」
「“どーせ”って。オレは運命の人を探すのに一生懸命なだけだよー」
「あー、はいはい。つーかお前のことはどうでもいいんだわ。コイツ手当てしてくれ」
凛太郎さ……、凛太郎に「ん」と前に出され、私は慌ててお辞儀をする。



