“りょーかいです!”と元気に返事をした時田さんは、朧さんという人を呼びに行ったのか、走ってどこかに行ってしまって。
再び、和泉さんと二人きり。
「……なあ紗菜」
「は、はいっ!」
急に名前を呼ばれ裏返ってしまった声なんて気にしない様子で、和泉さんが言葉を続ける。
「そのかしこまった感じ、やめねえ?」
「え?」
「タメだろ、俺ら」
「えっ、そうなんですか……?」
全くそんな感じしないし、自分の学年なんて言ってなかった気がするんだけど。
なんでわかったの?調べたの?
「だから敬語」
「あっ、」
「まあ、今日だけの付き合いだろうけどな」
───そっか。
“今日だけの付き合い”。
当たり前といえば当たり前なんだけど、和泉さんからもハッキリと言われてしまい、少し寂しい。
ぜんぜん時間なんて経ってないのに、居心地がよかったから。
「あの……和泉さ、」
「凛太郎」
「……凛太郎……は、なんで同い年だってわかったの?」
“さん”を付けそうになってしまい、少し舌先が変に動いた。
こんな質問、“くだらない”って笑われるかな。
「高1にしてはフレッシュさが足りねえ。どう足掻いても高3には見えねえ。消去法だけど」
ひどい。バッサリ。
もう少し言い方ってなかったんですか。



