気づけば私は加瀬くんにカバンを投げていた。 「いてーな。何だよいきなり」 「それはこっちのセリフ!」 何がだよと加瀬くんは怒り始めた。 怒りたいのこっちなのに… 私の目からは一粒涙がこぼれた。 「…は?何泣いて…」 「……ファーストキスだったのに……」 私はそう言ってカバンを拾ってダッシュで学校へ向かった。 「……芹奈…ごめん。」 加瀬くんがそう呟いていたのも知らずに。