今日も私の世界はモノクロで、真夏の日差しに干からびたカエルのような時間が早さを増すこともなく緩やかに、それはもう穏やかすぎるほど、のんびりと流れるんだ。
通勤通学時間でさえ2本しかないようなバスに乗り込んで、山を越えたところに学校はある。一学年二クラスの定員割れも甚だしい学校で、でも生徒にはそのアットホームな校風が好評だとかなんとか。
「1限数学かや!」
「うわっ、宿題忘れちょった!」
「バッカでぇ」
教室の真ん中の方で騒ぐ声を遮断するように、手探りでスマホの音量ボタンを押す。
学校に着いてから朝礼までの時間を、私はいつも机に突っ伏して過ごしている。
私に声を掛けてくる人なんていないので、何ら不都合はない。……と、思ってた私の肩を、トントン、と誰かが叩いた。
予想の地平になかった出来事に目を丸くして顔を上げると、クラスメートの女子が立っている。
「……何?」
「呼ばれちょーよ」
体を起こしつつイヤホンを片方だけ外すと、名前もロクに覚えていないその女子は遠慮がちに廊下の方を指差した。
通勤通学時間でさえ2本しかないようなバスに乗り込んで、山を越えたところに学校はある。一学年二クラスの定員割れも甚だしい学校で、でも生徒にはそのアットホームな校風が好評だとかなんとか。
「1限数学かや!」
「うわっ、宿題忘れちょった!」
「バッカでぇ」
教室の真ん中の方で騒ぐ声を遮断するように、手探りでスマホの音量ボタンを押す。
学校に着いてから朝礼までの時間を、私はいつも机に突っ伏して過ごしている。
私に声を掛けてくる人なんていないので、何ら不都合はない。……と、思ってた私の肩を、トントン、と誰かが叩いた。
予想の地平になかった出来事に目を丸くして顔を上げると、クラスメートの女子が立っている。
「……何?」
「呼ばれちょーよ」
体を起こしつつイヤホンを片方だけ外すと、名前もロクに覚えていないその女子は遠慮がちに廊下の方を指差した。