本当にイケメンだったとか、あのイケメンはどこの人だとか、結論の出ない議論を飽きもせず繰り返している様子の彼女達。

毎日そんなくだらないことで盛り上がれて、人生楽しそうね。心の中で悪態をついて机に突っ伏す。いつもの調子で組んだ腕に頭を乗せたら、ちょうど痣のところだったようで顔を顰めた。痛いな。

ほどなくしてチャイムが鳴り、名簿を持った担任が教室に姿を見せる。

委員長の号令を合図にみんなで席を立ち、朝の挨拶を行う。小学校一年生の時からずっと変わらないこの習慣、どうにかなんないのかしら。


「今日は全員出席みたいやな。優秀、優秀」

「まっちゃん、いつもそれ言っちょーな!」


まっちゃん、というのは担任の愛称である。松本和之だから、まっちゃん。やる気があるのかないのかわからない、30歳くらいの男性教師。


「ちゃんと学校に来ちょーけん、優秀だわ」

「そう思うならもーちょい心込めて言ってくれや」


男子の的確なツッコミに、教室のあちこちから笑いが起こる。そんな空気もそこそこに、担任が一つ、わざとらしく咳払いした。


「今日の連絡事項は終礼に回すとして、今日はお知らせがありまーす」