「……どうしたの?」


「………びっくりした。もう寝るところだった?」


「そういうわけじゃないけど、もうお風呂には入ったから、こんな格好なの」


“できれば見られたくなかったけどね、こんなだらしない格好は”

そう付け加えて軽く笑うと、「ゆるゆるの野乃の姿も可愛いよ」なんて甘い言葉が降ってきて、私はどう返していいのかわからなかった。


「こんな時間に悪いんだけど、野乃、今から出られる?」


「出るって……外に?」


「うん。…あ、でも、野乃のお母さんが心配するか」


「ううん、大丈夫だよ。お母さん、今日は夜勤だから」


だから、外に出ても問題ない。お母さんが帰ってくるの、明日の早朝とかだろうし。そのまま寝ちゃうだろうから、朝も会わないだろうし。