なんて、考えていると――


「職員室行ってくるから。ささっと終わらせたら戻っていいわよ」

 と、先生が保健室をあとにして。


 …………また、2人きりになってしまった。


「少女漫画あるある。養護教諭がタイミングよく保健室から消える」

「あ、わかる。そういうシーン、何回も見たことがある……よ」


 って、なんで桝田くんが少女漫画知ってるの?


「読んだ」

「……は?」

「クッソおもんなかったから。オマエにやるわ」

「なにを」

「『先輩、すきです。』の新刊」

「え、待って。買ったの?」


 そして。

 …………読んだの?


「さすがに読まずにケチつけるのもな。案の定、理解不能だったが」


「なに読んでるの……!!」


 どんな顔して、読んだの?


 キラキラした少女漫画をレジに持っていく桝田くんの姿を想像し、声に出して笑いそうになる。


「コトリが好きなモノが。どんなもんかなと」

「……それで。バカにしてやろうと?」

「そこまで捻くれてねえよ」


 なにしてるの、桝田くん。

 不意打ちすぎるよ。

 ツボに入った。無理。