「アンタも素直じゃないね〜」


 えみるが、ヤザワくんの背中を、バンッと平手で叩く。


「いって」

「だったら、謝ったあとは。友達になりな」

「誰があんな捻くれたヤツと」

「似たもの同士、やってけるんじゃない?」

「アホか。俺のどこがアイツに似てんだよ」


 えみるとヤザワくんが、急に仲良くなったように見える。


「あ、あのさ。ヤザワくん」

「なに」

「桝田くんがどうして体育に出られないか、先生から知らされてないんだね?」


 同じクラスの仲間、なのに。


「なんだよそれ。桝田はサボってんだろ?」

「あたしは、身体弱いって聞いたよ〜?」


 と、えみる。

 あくまで噂だ。


「カラダ弱えやつが、あんな蹴りくらわせてくるかよ。あの動きはどう見ても鍛えてる。桝田は他の授業も抜けたり、気まぐれなやつなんだ。それでも成績が飛び抜けていいから……ムカつくんだけどな」