えみるは、同級生なのに、お姉さんって感じだ。


 経験値の差もそうだし。

 それに、メイクのこととかも詳しいし。


 こうやって寄り添ってくれていることが。


 わたしは、えみるに救われっぱなしだ。


「メイクって、すごいね。いつもの自分と少し違う自分になれたことで。明るい気持ちになれる」

「そうだよー。別に濃くしようとか思わなくても、ビューラーで、まつ毛をくるんと上に向けただけでも。気分あがるよね。とりあえずは、親バレしない程度にやってみたら? 学校にきてからする、とか」

「今の成績じゃオシャレしてる暇ないでしょって思われちゃうし。わたしも、優先すべきは勉強だと思うから……。成績があがったら。やってみようかな?」

「うん。そうしよ!」

「ありがとう、えみる」


 本当に、ありがとう。


「いやー、でも、やっぱり素材いいとメイクのし甲斐あるわ」

「そうかな……」

「ねえ、古都」


 えみるが、じっと見つめてくる。


「初めてメイクして。いつもの自分とちがう、ちょっぴり新しい自分になった、その姿。いま、誰に見せたい?」