教室に戻りながら、わたしは、妙に落ち着かなかった。


 なぜなら。

 …………メイクを、したから。


『腫れた目をカモフラージュする!』といって、えみるが施してくれた。


 保健室から教室に戻り、メイクポーチをとり、トイレに向かいやってもらったのだ。


「先生に、怒られないかな」

「このくらいで怒らないよ〜」

「……初めて」

「どう? 気に入ってくれた?」

「うん。すごく」

「じゃあ、古都も自分のメイク道具揃えていったら? オススメ教えようか。プチプラでも発色いいチークとか。汗で落ちにくいけどお風呂では簡単に落ちるマスカラとか」


 わたしだって、色々してみたい気持ちはある。

 でも。


「お母さんが、させてくれない。まだはやいってさ」