「古都は、桝田くんのことが知りたくなってるんだよ。きっと古都が考えているよりずっと。なにもそれが恋である必要は、ないし。仮に恋だったとしても。全然おかしなことじゃないよ?」


 …………おかしなことでは、ない?


「わたしが好きなのはマサオミくんなのに?」


 ずっと、好きなのに。

 大好きなのに。


 出会ったばかりの桝田くんが、気になることは。


 桝田くんからの突然のキスに、ドキドキしたことは。


 …………おかしなことではないの?


「んー。今あたしが言えるのは。風向きが、少し変わってそうだなってことくらいかな」


 えみるは、わたしよりわたしの周りが見えているような気がしてならない。


「しかし。あたしの誘いは断った古都が。自分から桝田くんを誘うなんて、妬けるな〜」


 …………!?


「ごめん!」

「なにが」

「桝田くんとカラオケ、行って」

「ほんとだよ。あたしだってデートしたかったのに」


 えみる、桝田くんのこと、諦めたみたいに言ってたけど。

 今も、本当は、好き……とか?


「こうなったら宣戦布告しよう。いや、下剋上か?」