桝田くんは痛みを知らない

 …………そのひと、誰?

 2人で来たの?


 よく、来るの?


 次々と浮かぶ疑問を口にすることは、できない。


「知ってる子?」


 女の先輩が、そういって、マサオミくんの腕に触れる。


 …………いやだ。

 マサオミくんに、触らないで。


「小学校から同じ子」

「ふーん。地元一緒なんだ」


 笑って、自然に別れられれば、いいのに。

 カラダが固まって動いてくれない。


 笑顔を無理に作れば、失敗して、マサオミくんに変に思われてしまいそうな気がして。


 ――――うまく、笑えない。


「なにグズグズしてんだよ、コトリ」


 ふわっと。

 わたしの視界から、突如、マサオミくんと女の先輩が消えた。


「おせえ」


 ――――桝田くん。


 ひょっとして。

 迎えに、きてくれた……?


「ったく。トロいやつ」


 かけられる言葉は、ちょっぴり冷たいけれど。


 さりげなく、カウンターに置いたドリンクを持ってくれる。