桝田くんは痛みを知らない

「桝田くんも歌ってよ」

「絶対に嫌」

「わたしは歌ったのに……!」

「カラオケ代、俺に払わせたかっただけだろ」


 …………ソウデスネ。


「ねえ、桝田くん」

「ん?」

「……そんなに耳にたくさん穴あけて。痛くないの?」


 少し長めの黒髪で隠れているけれど、片方だけでも10個くらいあいてそうに見える。


「ヨユウ」

「ホントはあけるとき。泣いたりして」

「そんなわけあるか。俺、イタミ感じねえから」

「うそだあー」

「ホントだって」


 強がり、なのかな。

 それとも個人差あるの?


「耳よりも。舌とかの方が、いてえらしいな」

「それは想像しただけで怖いよ」

「……怖い?」

「だって、舌って。耳たぶより分厚いし。なにか飲んだときとか、シミそうじゃない?」

「あー……。やっぱ、そう思うんだな。普通は」


 ――――普通は?


「桝田くんは。どう思うの?」

「『ああ。穴があいたな』」

「それは強すぎるよ」

「強い?」


 だって、その理屈だと、舌に穴があいたとき蚊にかまれるよりダメージくらわないってことでしょ?

 最強すぎる。