黒い薄手の布を羽織って、口元が隠れている。


「占い師っていうよりは。黒魔道士か。死神っぽいね」

「冷やかしなら帰りやがれ。呪うぞ」


 ヨシヒサくん、わたしがマサオミくんと来たこと、あんまり驚いてはいないみたい。


「せっかく並んだんだ。占ってよ。まあ、古都ちゃんと手を繋いでいたから。あっという間だったけど」

「なんだと?」


 ヨシヒサくんが、マサオミくんをギロリと睨む。


「繋いでないよ!? 嘘つかないでマサオミくんっ……!」

「嘘かよ」

「まあ、僕らが最後の客だ。のんびりいこうじゃないか」


 学園祭は、もうじきクライマックスを迎えようとしている。


 この教室は不思議な雰囲気に装飾されていて。

 机の上に黒い布が敷かれ、その上に置かれているのが――


「水晶玉。綺麗だね」


 ヨシヒサくんのブースだけに行列ができているようだ。