桝田くんは痛みを知らない

「えっ……と。いや。そういうのは。まだよくわからないし。心の準備がいると思い、ます」

「なら、はよ教室戻れ」


 ――――!


「でも。話の途中」

「また時間作りゃいいだろ。いくらでも」

「!」

「これきりに。しなくて、いーんだろ?」

「……いい」


 しなくて、いいよ。


「これきりは。いやだよ」


 もっとたくさん、一緒に過ごしたいよ。


「だったら。ハラ痛くて保健室行ったあと、トイレ寄ってたとでも誤魔化せ」

「……桝田くん、は?」

「俺はなんとでもなる。家に授業中どこにいたかわからない、なんて連絡いったら。困るのはオマエだろ?」

「たしかに。成績悪いうえにサボったってバレたら、ヤバい」


 桝田くんと居たい一心で授業を抜けてしまった罪悪感と危機感が、今になって、押し寄せてくる。