さっきの会話、先生に聞かれてたかな?
横で歩く先生の顔を少し覗くと、それに気づいた先生と目が合った。
それだけで心臓が大きく波を打つ。
びっくりして目線を逸らして前を見ると、柾木が俺たちの方を振り返った。
「先生、聞いて下さいよー」
前を歩いていた柾木は、俺の横に並んで足並みをそろえて喋りはじめた。
「こいつ最近、付き合い悪いんす」
柾木はさっきの話の続きをしている。
「あら、そうなの?」
「放課後誘っても全然遊んでくれないし。先生どう思います?」
「そんなの先生に聞いてどうすんだよ?」
俺は慌てて柾木の言葉を遮る。
でも先生は、
「へー、それは寂しいわね」
と柾木の意見に乗っかった。
「でしょ?彼女できても遊んでくれたてたのに。
どういう心情の変化だと思いますか?」
俺は内心、少し焦っていた。
先生は俺が放課後、いつも図書館にいること知っているから。
それを柾木に知られるのは、なんかイヤだった。