「じゃあ、なんで彼氏いるって…」


「莉子、キミにもウソついてたんだ。なるほどね」


先生のお兄さんは何かに納得したようにうなずいていた。


「ウソ?」




「どう?ちょっと俺の話聞く気になった?」


お兄さんがそう言った時に、ちょうど電車が来た。


「はぁーーー」


俺は頭を抱えるかのようにその場にしゃがみ込んだ。




そんな俺を見下ろすお兄さんと目が合う。


「分かりました」


俺は電車を乗り過ごして、先生のお兄さんについて行くことにした。




未だに信じられない。


先生には彼氏がいると思ってたから。


だから俺、焦って。


嫉妬して。


先生に無理やりあんなことして。




もし本当に彼氏がいなくて、俺にウソをついていたとしたら、そこまでしても俺のことを遠ざけようとしてたってことだよな。


だとしたら辛すぎるんだけど。