「本当に先生のお兄さんなんですか?」
「キミにウソついてどうすんの」
確かにそんなウソついても何にもならない。
お兄さんの顔を見るとどことなく先生に似ている気がしてきた。
「でも先生の家に男物の部屋着があった」
「え、莉子んち行ったことあるの?」
俺の言葉にお兄さんは少し驚いた表情を見せた。
言ったらまずかったかな。
「成り行きでちょっと」
「それも俺のだよ。成り行きねー、キミも以外とやるね」
お兄さんは毎度、含みを持たせた感じで俺の顔色を伺う。
「でも先生、彼氏いるって言ってた」
彼氏いるからごめんって、確かそう言ってた。
文化祭の時だって、彼氏がどうとか言ってたよな。
「俺の認識では大学生の時以来いないはずだよ」
さっきから全然頭がついていかないんだけど。



