「先生のお兄さん?」
「ねー、なんで俺のこと莉子の彼氏だと思ってたの?」
先生の兄と名乗る目の前のスーツを着た人は、含み笑いをしながら俺に投げかける。
「だって、見たから。先生とその、あなたが腕組んて歩いているとこ」
図書館に忘れ物をした先生を追った、あの日。
先生は確かにこの男の腕に、自分の腕を絡ませにいった。
その後すごく仲よさそうに歩いていった。
あんなの見たら誰だって…。
「あー、昔から仲はいいんだけど、クセっていうか。
莉子モテるでしょ?
つきまとってくるヤツとかいたから、余計な虫が付かないようにいつもあーしてんの」
なんだよそれ。
そんなことあんのかよ。
え、じゃあ何?
本当に彼氏じゃねーの?



